北海道江別市の野幌で煉瓦(レンガ)の国内製造及び販売|米澤煉瓦 株式会社 公式サイト

インタビュー

水野 信太郎氏 INTERVIEW 北翔大学 生涯スポーツ学部 スポーツ教育学科 教授 工学博士

プロフィール PROFILE

1955年愛知県豊川市生まれ。1978年名城大学理工学部Ⅱ部建築学科卒業。この間、実験実習技術員として中部工業大学(現 中部大学工業部)建築学科に勤務。87年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。工学博士。金澤学院大学助教授を経て1999年から北海道女子大学(現 北翔大学)短期大学部服飾美術学科の教授に。妻と二人の息子、そして建築の職人だった父親と江別市に移り住む。趣味は古地図収集のほか、自転車や弓道などのアウトドアも楽しむ。

断熱材の「断熱層」って実は「空気の層」なんですよ。

外断熱の断熱材、建材は「れんが」がオススメなんです!

鬼太郎ってちゃんちゃんこ着てますよね?
あれが何故暖かいかというと、あれちゃんちゃんこその物が空気層であり断熱層なんです。
外は寒く、冷たくても自分から熱が逃げないからなんです。
要するに全て空気層なんですよ。

昔は「グラスウール」といって、チクチクした黄色いやつが主に使われていました。
現在のものは違って、ライターなどで火をつけても燃えないスチレンボードというものがありまして、それを5cm使用しているんです。

その断熱層が外側にあるのか内側にあるのかで、「内断熱」「外断熱」に別れます。
内側にあるのが「内断熱」といい、まぁほとんど使われていないものです…。
外側にあるのが「外断熱」といいます。何の外側かというと、建物の骨組みの外側ですね。

鉄筋コンクリートでも木造でも、骨組みの外側に断熱層(断熱材)があると、とても効率の良い断熱が出来るんです。
冬になり、雪が降ったとします。熱が逃げにくいので暖房を止めて寝ます。でもなかなか、冷えません。
その理由はハッキリしていて、断熱層が外側だと空気があったかくなっているだけでなくて、骨組みもあったかくなってるので大丈夫なんです。

逆に、夏になったとしましょう。暑いですよね。僕が今クーラーをかけました。しかし、クーラーはもったいないので、つけっぱなしは止めてちょっと止めます。それでも「外断熱」だと空気だけが涼しくなってる状態ではなくて、建物も骨組みも涼しくなってるので、クーラーを2時間くらい止めてもそんなに暑くならない。これが内断熱ですと、空気だけがあったまってるとか、空気だけが涼しくなってるだけですから、すぐ外気温に影響されちゃうんです。冬なら寒くなるし、夏なら暑くなっちゃうんです。

断熱層が外にある「外断熱」がとても良いんです「外断熱」がオススメなんです!

ところが困ったことに、建物の骨組みの外に断熱層(断熱材)があると、これって雨にも濡れますし風にも当たります。ですから丈夫な何かが必要なんですよね。ところが、それに適した素材があまりないんですよ。
そこで、一番安いのはトタン張りかと思いますが、とはいっても外断熱にお金かけた外側がトタン張りってわけは無いと思います。

では石にしますか?まぁ厚さ30cmぐらいの石にしてみますか?それはもったいないですよね…。
木にしますか?昔風の、木の小屋の形にしたとしましょう。お隣が火事になった時一緒に燃えちゃうんです。
燃えなくて、腐らなくて、さびなくて、それでいてその断熱層を守ってくれるカバーで…そうするとですね…(適した素材が少ない)。

メンテナンスフリーのお手入れ不要という素材なんですが大半はいつまでも、てかてかつるつる、ぴかぴかのステンレスか、あとは天然素材だと、やっぱり石なのかなと…(やはり限られてくる)。

無垢(むく)の板もいいんですが、これは外装にすると、まぁ痛んできますよね。
腐ってしまうとか、火事に対して弱いので可燃物は使えませんね…。
可燃物以外ですと銅板か天然の石か、そのほかには土ぐらいになります。
本当に少ないんですよね最適な素材って、よく考えてみると。やはり「れんが」が一番重厚で、不燃材料で、日に照らされても大丈夫、雨、風、雪も大丈夫な素材なんです。

燃えない、腐らない、錆びない建材…理想的な素材は「れんが」しか無いと思います。

れんがで作った場合、できた時はとてもきれいに職人さんが仕上げてくれます。
出来たときは若々しい、さすが新築物件。しかも50年経つ、100年経つとまたそれはそれで別の味が生まれてくる、味がでてくる。

その上、空調費は余分な燃料を使わなくても、冬は暖かく、夏涼しい。

れんがですから、厚みがありますので、ここにもちょっとあるんですが、食べ物のマカロニみたいに、ぎゅーっと引き出された時に、もう穴ができてるわけです。
四角いれんがでぎゅーっとこう穴があいてるのを、ワイヤーで厚み分にカットしてけばいいんですよね。
そういうものに鉄筋入れてですね、鉄筋コンクリートの躯体(くたい)は別にあって、外側に5cmのウレタンフォームもある。更に幅10cmのれんがが外装仕上げになる。そのれんがにも鉄筋をいれるわけです。

それをステンレスの針金でこの躯体にかけていけばいいんですよ。何段置きかにステンレスでアンカーをとる。地震が起きても倒れません。そういうものを1度作ってしまうと、もう50年でも100年でもほったらかしでいいんです。
ときどき気が向いたら水とデッキブラシでこするぐらいで、またきれいになりましたねって…
そういう好都合な素材ってちょっとねー、れんがぐらいしかないんですよね。

―ありがとうございました。

江別の「れんが」について全国の皆様へのメッセージ

全国の方がれんがの建物といってイメージなさるのは東京駅や大阪の中之島の中央公会堂を思い出されるだろうと思います。そんな煉瓦建築の中でも北海道の道庁、赤レンガ庁舎っていうのはやはり非常にエキゾチックなものだと思います。

道庁のれんがを焼いた煉瓦工場は今はもうなくなっているんですが、その歴史と技術を継いでいるのが実は江別市という札幌の東隣のまちなんです。

ところで煉瓦産業は基本的に地球の姿を変えてる作業みたいなところがあるんです。

土を掘って、そして形を作って干して焼いてその後で建物のところへ製品を運ぶわけですよね。
そうしますと、大都市の近くであればあるほど有利なんです。

余分なガソリンを使わずに大きなビルの現場まで運べるわけですから、そういう意味でほとんど「札幌市江別区」っていう冗談がでるくらい近くの江別市だから存続できた産業なんです。

そういう意味でやっぱり北海道の赤レンガ、あの建物の煉瓦を焼いた札幌市内の白石区には今やひとつもありませんが、その東隣の江別市で今複数の会社が現役でやってます。

そういう伝統、歴史から生産状況、経済活動が今も生きているまちが江別です。
しかも、安定性と強度が強く丈夫で長持ちという建築材料が江別のれんがです。江別の煉瓦生産は今なお素晴らしいものだと思いますね。

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